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貸金業法に流された法改正

審議会はかなりの急ピッチで進められ、議論が開始された二〇〇七年の十一月二十九日の第一一回会合をもって終了しました。民間ベースのスピード感であれば普通より遅いかもしれませんが、お役所の仕事としてはかなり早いです。そして十二月十日に報告書が公表されました。これによって改正法の骨格が明らかになるのですが、出てきた法案はこの審議会報告書からはとても想像できない内容でした。報告書が示した法改正の方向性は、次のとおりです。

①悪質な勧誘販売行為を助長する不適切な与信の排除
(1)個品割賦購入あっせん業者に対する規制の強化
(2)不適正与信の排除に向けた民事ルールの導入

②過剰与信防止のための措置

③クレジットカード情報の保護強化

④横断的事項(法律の規制対象の拡大)
(1)割賦の定義の見直し
(2)指定制の見直し

⑤自主規制機能の強化

⑥政府の執行体制の強化

それぞれの内容をここでは紹介しませんが、一番に挙がっている特商法関連取引に関する規制が重たい内容でした。改正法にある「支払い可能見込み額」という考え方はどこにもありません。似たような項目としては、②「過剰与信防止のための措置」ですが、ここは住宅リフォームの次々販売のような与信をどうやって防止するかという観点からのものでした。割賦販売法の改正の前年に改正が行われた貸金業法には、総量規制の考え方が取り入れられましたが、もしこういった重要なものを入れるのであれば、報告書に盛り込むべきです。ところが、多少の思わせぶりなところはあるにしても、よほど想像力がたくましくない限りはこのような規制を思い浮かべることはできません。

それが、法案になるや盛り込まれて世間にオープンになったのです。貸金業法の改正は、「空気に流された」と論評されていましたが、まさに空気に流されて割賦販売法まで同じような規制が盛り込まれてしまったのです。このような規制に対する反作用は信用収縮です。クレジットは、そもそも信用創造によって物流を盛んにすることを目的に政策化されていた時代もあったのですが、真っ向からこれを否定する結果になったのです。当時の所管課の課長は、業界に対して「悪いようにはしないから」と説明したそうですが、役所の独走というか審議会無視というか、常識ではあり得ない進め方で改正されたわけです。